彼女もまた地方から上京してきた一人である。
若い頃の彼女は、昔流行った”ヤンキー”の一人である。
学生時代はバイクをブーブー走らせ、紫色や黒のスウェットを着て、とどめの柄は虎や龍、風神様など、遠くから見ても“ヤンキー”です、とわかる人物である。
”イナゴ会”のメンバー達は比較的学生の頃、たくさんお勉強をした人が多くほとんどは有名大学卒である。
イナゴ会のメンバーが大学受験の為に必至に勉強をしていた時に彼女は何をしていたかと言うと、
◯車を毎日洗ってピカピカにしていた
◯車のパーツを買うためにあちこちでアルバイトをしていた
◯夜は音楽を鳴らしながら、ブーブーあちこちで仲間と走っていた
◯スウェットを着て地元の商店街で買い物をしていた
◯眠い時にはグーグー寝ていた
そんな彼女なのであった。
20代の時の彼女は地元で事務職の仕事をしていた。
実はその頃の彼女の夢は「トラックで荷物を運んで全国を走りまわるトラッカー野郎」に憧れていた。
夢を実現しようとして某運送会社に入ったのだが、ある日荷物をおろそうとしたら”ごきっ”と腰を悪くしてしまい、しばらくコルセットのお世話になってしまった。
腰を悪くなってしまった事は致命的である。
トラックの運転は長時間に及ぶと腰が悪くなり、更に荷物が重いのもあるので酷いとヘルニアになってしまう人もいる。
夢であった”トラッカー”は諦め、仕方なくコツコツ事務業を続けていたのである。
しかし、人生は生きていると大きな転機を迎える時は必ずある。
そう、トラッカーに替わる夢がある日突然舞い降りたのである。
アルバイトで働いている学生が読んでいた雑誌をペラペラとなにげな〜く見てみるとこの様なキャッチが目に飛び込んで来た。
「あなたもこの技術をつけてクリエイティブな仕事しよう!」
クリエイティブ?クリエイティブ???っってなに???????
なんのこっちゃと次ぎのページをペラッとめくってみると、DTPやWEBのデザインの学校のコースの宣伝であった。
当時の彼女はDTPやWEBなんて言葉は知らなかったのである。
????と思いながら、ひたすら読んでいったのである。
一番興味が引かれたのが卒業生の作品のページであった。
実は彼女は絵を描くのが大好きで、小学生の頃は教科書やノートにパラパラマンガを描いており皆に見せていたのである。
(つまり小学校の頃から彼女は勉強をサボっていた訳である。)
”パラパラマンガ”がうまかったし、もしかしたら自分もクリエイチィブ(クリエイティブが正解)になれるかも・・・・”
そ〜んな単純な発想で彼女の人生の転機は訪れた訳である。
しかし、当時の学校はほとんどが東京であった。
決断をしたら彼女は早い。
会社に退職願いを出し、さっさと荷物をまとめて、東京へとやってきたのである。
学校に通い、就職先も無事に決まった。
これで彼女の人生大万々歳〜〜〜〜〜〜!と思ったのだが、人生はそうそう全てがハッピーでは終わらない。
仕事量があまりにも多くて、毎日深夜まで会社に残って片づけていかないと、納期が間に合わないのである。
毎日仕事、仕事、仕事。
当然ストレスがたまってくる。
もういいかげんパソコンは見たくない病にもなっていた。
人間ストレスたまれば、酒も飲みたくなる。
ヤンタカさんのストレス発散の秘密の場所は、屋台であった。
仕事が終われば、ちょろっと一杯。缶ビールを2本飲み、つまみ2.3品頼んでお腹が空いたら、そこでラーメンを頼む。味はめちゃくちゃ美味いっていう訳ではないのだが、その屋台は女性お一人様でも気軽に入れるので結構助かるのである。
屋台の面白さは全然知らない人でも、酒を飲むといつの間にか飲み友達になれる。たまには口喧嘩もつきものだが、小さいカウンターで屋台のマスターと話しをしながらのお酒を楽しみにしている人もいるので、時間帯によっては満席の時もある。
何回か訪れて飲めば、結構常連客の飲む時間がわかってくるので、ヤンタカさんはいつも深夜0時近くに屋台に足を運んでいた。
「イナゴ会」のメンバー達とヤンタカさんの出会いは実はこの屋台なのである。
その日は寒い冬の夜、ヤンタカさんは地元の友人と屋台で合流して飲むのが習慣だった。
寒い夜にはまずおでん。結構煮込んであるから大根やこんにゃくが美味しいので、缶ビールとおでんを頼む。
友人とぺちゃくちゃ喋っていると、4人程の人間が屋台に入って来た。
そう、のび男君とカピバラくん、コネリーさん、カピバラ君の同僚&先輩&お友達のインテリっぽいしゃれた眼鏡とスーツを着ているレトリバー君達である。
でかい人間と体格のいい人間がごそっと入ってくると、一気にカウンターのスペースが小さくなる。
イナゴ会のメンバー4人はどこかで飲んでいたらしく、ラーメンを注文すると4人は一気にガツガツ食べ始めた。
食べている間は会話もなく、ズーズーとラーメンをすすっている音が屋台中に響いていた。
食べ終わったら、一気に会話。みんなぺちゃくちゃ喋りだすので、一気に屋台の中は騒がしくなった。
イナゴのメンバーとヤンタカさんの座っている位置は入り口付近とカウンターの奥の方と少し離れており、その間にもお客がいるので、お互いよく見えない位置にいた。
仲良くなったきっかけはやんたかさんの友人のおかげである。友人はどうやら4人の事を知っているらしく、友人が入り口付近にいるイナゴメンバーに話しかけ、ヤンタカさんの事を紹介したのである。
ラーメンを食べ、酒を少し飲んでから、スナック”おじょうちゃん”に行く予定らしいので、ヤンタカさんと友人もイナゴメンバーにくっついて行く事になった。
ヤンタカさんは初めて行く店なので、一体どういうところなのだろう?と期待半分・不安半分の気持ちであった。
<後編に続く>



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